OSS-DB Silver Ver.3.0で新しくなったことと対策

PostgreSQL
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ITエンジニアのYukiです。

2023年2月に、PostgreSQL資格試験のOSS-DBに新バージョンの3.0がリリースされました。

2023年8月からは従来のVer.2.0も受けられなくなったので、Ver.3.0しか選択肢がなくなりました。

PostgreSQL バージョン10~11を対象としていたVer.2.0に対して、Ver.3.0は、PostgreSQLバージョン12~14(2023年8月時点)を対象としています。

Ver. 3.0になって、試験自体の出題範囲が見直されています。

Ver. 3.0になって、何が変わったのか見てみましょう。

今回は、OSS-DB Silverを対象にします。

 

UnsplashKarly Nelsonが撮影した写真

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結論

OSSDB Silver試験について、Ver. 2.0とVer. 3.0を比較すると下表のようになります。

Ver. 2.0 Ver. 3.0
PostgreSQLバージョン 10~11 12~14
試験範囲の変更点
(Ver. 2.0までで削除、
Ver. 3.0で追加になったもの)
recovery.conf
ルール
pg_ctl initdb
JSONなどの非構造化データ
レプリケーションの基礎知識
標準付属ツールの使い方
非排他的低レベルバックアップ
対策本 Ver. 2.0の認定教材 Ver. 3.0の認定教材
問題数 約50問 約50問

試験範囲については、時代の変化、およびPostgreSQLの進化に合わせて、アップデートされています。

対策本や問題集は、Ver. 3.0に対応したものが出ているので、それを活用するとよいでしょう。

対策としては、Ver. 3.0に対応した認定教材を活用すること以外は、Ver. 2.0のときとあまり変わりません。

以上の結論を元に、詳しく説明します。

OSS-DB Silver Ver. 3.0での変更点

まずは、Ver.3.0でどのように変わったか押さえておきましょう。簡単に変更点をまとめました。

対象バージョンのアップデート

Ver.3.0では対象となるPostgreSQLのバージョンが上がりました。PostgreSQL12~14を対象としたものになっています。一方Ver.2.0は、PostgreSQL 11までを対象としていました。

ちなみに、PostgreSQLの最新バージョンは、2022年11月にリリースされたPostgreSQL 15です。PostgreSQLは、毎年リリースされているので、PostgreSQL 11は約4年前のバージョンになります。

PostgreSQL 14までの主な変更点

OSS-DB Ver. 2.0の対象だったPostgreSQL 10の時代から、Ver. 3.0試験の対象範囲であるPostgreSQL 14まで、PostgreSQLがどのように進化してきたか見てみましょう。

以前のPostgreSQLをご存じない方は読み飛ばしてもらって構いません。

PostgreSQL10~14の主な変更

DB管理者の立場で、各バージョンの主な変更をピックアップしてみました。
ただ、挙げようと思えば、各バージョンで10個くらいは挙げられますし、人によっ

ても選ぶものは全然違ってくると思います。

テストの対象バージョンのPostgreSQL 14までで大きく変わった点は、個人的には、PostgreSQL 12でのrecovery.confの廃止だと思います。

recovery.confの廃止

 

PostgreSQL 12でrecovery.confファイルが廃止され、postgresql.confファイルに統合されました。recovery.confファイルにあった設定項目は、代わりにpostgresql.confに記述するようになります。

設定項目がpostgresql.confに記述されているので、PostgreSQLを再起動しなくても、pg_ctl reloadで変更を反映できるようになりました。

では、リカバリ起動するときや、ストリーミングレプリケーションのスタンバイサーバで起動する場合はどうするのかというと、recovery.signalファイルやstandby.signalファイルを配置します。

詳しくは、PostgreSQL14のマニュアルの「付録O 廃止または名前が変更された機能 > O.1. recovery.confファイルをpostgresql.confに統合」に説明があります。

参考情報

PostgreSQLの各バージョンでの変更点は、SRA社の検証報告がわかりやすいです。

詳しく知りたい方はご覧になってみてください。

広範囲化

対象バージョンが新しくなったことに加えて、試験範囲が広くなっています。一部、削除された項目もありますが、学習が必要なことは増えている気がします。試験としてはVer.3.0になって難しくなったかもしれません。

最初に挙げた表の一部を再掲します。

Ver. 2.0 Ver. 3.0
PostgreSQLバージョン 10~11 12~14
試験範囲の変更点
(Ver. 2.0までで削除、
Ver. 3.0で追加になったもの)
recovery.conf
ルール
pg_ctl initdb
JSONなどの非構造化データ
レプリケーションの基礎知識
標準付属ツールの使い方
非排他的低レベルバックアップ

詳細は、比較資料がLPI-Japan公式のOSS-DBのサイトに公開されています。(PDF)

以下、気になった違いを挙げてみます。

非構造化データ

JSONなど、非構造化データが出題されるようになるそうです。

時代に合わせて、PostgreSQLの機能も進化していますね。

レプリケーションの基礎知識

これまで、Goldの範囲だったレプリケーションに関して、基本的な問題がSilverでも出るようになります。ストリーミングレプリケーション、ロジカルレプリケーションの両方が出ます。

実運用でもよく使われる、レプリケーションは、Silver取得者にも知っておいてほしいということでしょうか。

レプリケーションとは何かについては、「LPI-Japan公式>OSS-DB>OSS-DB道場」の記事がわかりやすいです。ストリーミングレプリケーションは、オススメ!OSS-DB情報 「第10回 レプリケーションについて(その1)」、ロジカルレプリケーションは、PostgreSQLの新機能「第1回 ロジカルレプリケーション」がわかりやすいです。

非排他的低レベルバックアップ

非排他的低レベルバックアップが、Silverの試験範囲に追加されました。

低レベルバックアップとは、物理バックアップのうち、オンラインバックアップにあたるものです。pg_start_backupやpg_stop_backupといった低レベルのAPIを使用して行います。

オンラインバックアップでは、稼働中のPostgreSQLに対してデータベースのファイルをコピーすることでバックアップできます。ファイルのコピーには、cp, tar, rsyncといったOSコマンドやストレージのコピー機能などが使えます。

次に「非排他的」というのは、どういうことでしょうか?

PostgreSQLの低レベルバックアップには、非排他的と排他的の2つの方式があります。

試験範囲に追加されたのは、「非排他的」の方です。

非排他的というのは、複数同時実行が可能ということです。つまり、pg_start_backupを実行してバックアップを実行中に、他からも並行してバックアップを実行可能ということです。

同時にバックアップすることなんかないし、何がうれしいのかと思うかもしれません。

実は、排他的バックアップの方は非推奨となっています。しかも、新しいバージョンであるPostgreSQL 15で排他的バックアップ方式は廃止されました。

排他的バックアップには、複数同時実行できないことに加えて、下記のデメリットがあります。

  • プライマリからしか取得できない
  • クラッシュ後の自動再起動をブロックする可能性がある
  • バックアップラベルファイルの削除ミスにより、データ破壊をもたらす恐れがある

(参考:PostgreSQL文書 14.5 > 26.3.3.2. 排他的低レベルバックアップの作成

手順ミスでデータ破壊の恐れがあったのなら、しかたないですね。

これからPostgreSQLを管理するうえで、非排他的バックアップについての理解は重要そうです。

OSS-DB Silverの試験対策

試験対策はVer. 2.0のときと変わらない

2023年2月にVer.3.0がリリースされてから半年がたち、試験対策が出そろってきました。

LPI-Japan公式の認定教材についても、Ver. 2.0のときにあったものがアップデートされてVer. 3.0に対応してきました。

そのため、試験対策はVer. 2.0のときとあまり変わらないと思います。勉強方法にはそれほど苦労しないと思います。

お薦めの教材

Ver. 3.0に対応したものも含め、おすすめの教材を紹介します。

  1. 「OSS教科書 OSS-DB Silver Ver3.0対応」
  2. 「PostgreSQL自習書」
  3. 「最強Web問題集 Ping-t」

以上の3つです。それぞれ説明します。

「OSS教科書 OSS-DB Silver Ver3.0対応」

PostgreSQLのことを一から勉強したいという方には、まずは「OSS教科書 OSS-DB Silver Ver3.0対応」をお勧めします。

Silverの認定教材なので、試験範囲を網羅しています。また、初めてPostgreSQLに触れるという人でも問題ないと思います。

試験対策として、必要十分な知識が得られるでしょう。

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ちなみに、古いバージョンのVer. 1.0対応やVer. 2.0対応の本もあります。

装丁が似ているので、間違ってそちらを買わないようにしましょう。

バージョンが違うと、範囲が不足していたり、PostgreSQL自体の機能やオプションが変わっていたりで、混乱すると思います。

「PostgreSQL自習書」

Oracleなど、他のDBの経験者でしたら「PostgreSQL自習書」(PDF)がおすすめです。

「PostgreSQL自習書」とは、Oracle経験者にPostgreSQLの概要を理解し即戦力になってもらうために、PostgreSQLエンタープライズコンソーシアム(PGECons)が作成した資料です。Oracleと対比することでPostgreSQLについて効率的に学べるようになっています。

なお、PostgreSQL12に対応しています。

スライドで60ページほどなので、すぐに読めます。

無償で公開されていますので、目を通しておいて損はないでしょう。

解説には、Goldの範囲も含まれますが、すでにOracleを知っている人でしたら、PostgreSQLについて深く理解できる分、ちょうどよいでしょう。

「最強Web問題集 Ping-t」

Web問題集のPing-tもVer. 3.0に対応していました。

ご存じの方も多いかもしれませんが、Ping-tはWeb問題集のサイトです。

多くの人にとって、Silverは問題集サイトのPing-tで演習をこなせば、合格は難しくないでしょう。Oracle Masterを持っていたり、すでにDBに関わっているITエンジニアのかたであれば、1、2か月で準備可能と思います。

OSS-DB Silverの試験対策としては、ほとんどPing-tだけでよいのではと思います。

たくさん演習をこなすことで、PostgreSQLの詳細を覚えることができます。

解説も充実しているので、ある程度PostgreSQLについて知っている状態でしたら、Ping-tだけで足りると思います。

なお、Ping-tには無料コンテンツもありますが、OSS-DBはプレミアムコンテンツで有料になっています。

プレミアムコンテンツの料金は、1か月2,400円(税込)~(2023/8/5現在)ですが、その価値はあると思います。2か月だと3,200円(税込)と少し割安になります。詳しくはPing-tの料金表をご覧ください。

実際、私もPing-tで1か月間勉強しました。よろしければ、私の受験体験記「100日でPostgreSQLをマスター(OSS-DB Silver/Gold受験日記)」もご参考にしてください。

PostgreSQLにさわってみる

これまで本や問題集など、座学の勉強法を中心にご紹介しましたが、PostgreSQLに実際にさわってみることも大切だと思います。

理解が早くなりますし、忘れにくくなります。それに資格は取ったけど操作できないというのでは、なんのための資格かわからないですね。

Oracle Virtual Boxなどを使えば、パソコン上で簡単に試す環境を作成できます。

私が試したときの日記もありますので、よろしければご参考にしてください。

100日でPostgreSQLをマスター(4日目)~実行環境を用意する~

少なくとも、下記について実際に操作してみるのが良いと思います。

  1. PostgreSQLのインストール
  2. DBクラスタの作成
  3. バックアップ、リカバリ

環境が作ってあれば、ほかにも気になったことをいろいろと試すこともできます。

まとめ

2023年2月から開始されたOSS-DB Silver Ver.3.0について説明しました。

Ver. 3.0になって、PostgreSQLの対象バージョンが12~14に上がり、試験範囲も広がりました。

試験対策としては、Ver. 3.0に対応した認定教材が出ているので、Ver. 2.0のときとあまり変わっていません。特にWeb問題集のPing-tを活用するのがおすすめです。

また、実際に環境を作ってさわってみることも大切です。

 

最後までご覧いただき、ありがとうございました。

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それでは。

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